Shunsuke Kimura

Concept

西欧の古典~中世絵画を見ると、必ず空が描かれています。

それは時には神の現れる舞台、神がこれから降臨する時間的な拡がり、そして神そのものの暗喩であったりします。

その共通のフォーマットに気付いたとき、とても興味深いと感じました。

 

現代では無宗教主義の人が増えているとされています。

科学が進歩し、古来よりあった様々な疑問であったことが解明され、神の御業であったとされていたことが否定される時代です。

それは神の存在を否定しているのかというと、そうではなく、科学というものに神が形を変えたに過ぎません。

 

空を見上げるとそこには数億年前から変わらない情景が拡がっています。

多くの画家が追い求めてきた抽象性がそこには存在します。

 

私はアートの定義のひとつとして古典からの連続性が重要と考えます。

今回の展示では、空を描くことを通して、神を描いています。

私は神の存在を描くことで、古典との連続性を表現しています。

数年前までは銀座などの所謂レンタルギャラリーなどを中心に展示活動を行ってきました。

その過程で美術を通して友人が出来たり、小さな賞を頂いたりなど貴重な経験させて頂きました。

私が考えるアートの理想として商業性との一体化というものが強くあり、それらの社会人サークル活動のようなことを繰り返す中で、果たして自分はこのままでいいのだろうか、と自問自答をするようになりました。

銀座などでのレンタルギャラリーの展示活動を辞めた後、小口の個人との取引を中心に創作・販売活動を続けてきました。

しかし小口の個人とのやり取りの反復は、創作のスケールを段々と小さくしながら疲弊していくという、新たな問題を生み出すことになってしまいました。

そのような商業性に近い部分とは別に、自身の創作のコンセプトたるフラッグシップを打ち出し続けることは重要と感じ、今回の展示に至りました。

 

今回はリリア川口という公共ギャラリーを利用しました。

都心よりアクセスが非常によく足を運びやすい立地です。

展示も一日のみの展示ですが、興味、関心を抱いてくれている人にとって、展示期間が一日でもあれば十分と私は考えます。

かつてレンタルギャラリーで実際に展示し、その経験や反省点を踏まえ、今回のような展示手法を取りました。

 

今後もこのような一日展示は継続していく予定です。

Note

Feb.29,2019 リリア川口